土地家屋調査士はどんな資格?

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土地家屋調査士は、不動産の表示登記の専門家で、法務省の国家資格です。


不動産の位置と面積を正確に測量して登記簿に反映することが仕事の中核です。


わかりやすく説明しましょう。


記事作成責任者: 徳野 制


不動産登記の「表示」とは?

不動産の情報は法務局の登記簿に記録され、誰でも閲覧できるようになっています。


この仕組みがあることにより、不動産売買や融資などが安全にできます。


登記情報はわかりやすいように3区分で記録されています。


登記情報の内訳

表題部 土地や建物の物理的情報【正確な位置や面積など】
権利部(甲区) 所有権【持ち主の変遷と現在の持主】
権利部(乙区) 所有権以外の権利【抵当権(誰がこの不動産を担保に誰からいくら借りた)、地上権、その他】


上の表の表題部の中身が「表示」です。


表題部に記載される情報
表示の内容を土地と建物に分けてもう少し詳しく示します。

土地 所在、地番、地目(宅地、畑、雑種地など)、地積(面積)、登記の日付など
建物 所在、家屋番号、建物の種類(居宅、店舗、事務所など)、構造(木造、鉄骨造など)、床面積、登記の日付など


司法書士との住みわけ

世間では、不動産の登記は司法書士の仕事と思われがちですが、司法書士の守備範囲は権利部の登記です。


「表示」、つまり「表題部」の内容のの登記は土地家屋調査士の守備範囲です。


「表示」は、わかりやすく言うと「そもそもどこにあるどれくらいの大きさの物件なの?」といった一番基本的な情報の部分です。


それが最初に厳密に定義されて初めて、所有権や抵当権が何に対しての権利なのかが明確になります。


例えば2つの土地の境界線があいまいだと境界付近はどちらに所有権があるのかわからず、紛争になります。


またどちらの所有になるかによって、金額換算した時も非常に大きな金額になるかもしれません。


表示が不明確ないし不正確だと、その後のことすべてがぐらついてしまうのです。


つまり不動産に関する権利の対象を客体化する仕事だといえます。


それができる能力があることを認証するのが、土地家屋調査士の資格だと言えます。


土地家屋調査士の法的専門性

表示の内容は住所、種類(宅地、農地など)、面積、建物の階数などと聞くと「簡単そう」と思った人もいるかもしれません。


しかし、先ほどの説明で、表示がすべての基礎であり、厳密・正確でないといけないことをわかってもらえたはずです。


そのため表示の登記にはものすごく細かい法律やルールが定められています。


だからこそそれに精通していることを認証する土地家屋調査士の資格があるわけです。


表示登記の義務を負うのは所有者なのですが、素人がにわか勉強で正しく登記申請するのは無理です。


そこで土地家屋調査士が代行を請け負います。


表示の申請代行は土地家屋調査士だけに許された業務、つまり独占業務です。


測量技師としての一面も

表示に正確な情報を載せようとすると面積や隣接地との境界を明確化するために測量が必要になります。


表示登記のための測量も土地家屋調査士の仕事です。


そのため土地家屋調査士の資格試験には、測量の知識や製図実技も含まれます。


実際の仕事でも測量機械を持って現場に出て測量します。


司法書士、行政書士、宅建などの他の法律系資格はすべてデスクワークですが、土地家屋調査士だけは現場に出る技術者の一面があるのです。